
春をひさぐ鳥〜今宵だけはあなたと…〜
単話
作家:月面着陸
27ページ
幼いころから私を兄のように慕っていた’千代子’
故郷を去るときも必ずまた会うことを約束し、笑顔で送り出してくれた
数年後、故郷に戻った私は驚きの事実を知る
’千代子が遊郭に…’
あんなに明るく心優しい彼女がどうして…
真実を知りたいという思いに急き立てられ、
私は遊郭へと向かった
月明かりが照らす部屋に現れたのは、
妖艶な雰囲気をまとう大人びた遊女だった
本当にあの千代子なのか?
一瞬疑ったものの、
彼女もこちらに気づいているようだ
早くここから逃がしてあげなければ…
もてなしを始めようとする彼女に対して私は勢いよく問い詰めた
しかし、彼女は大声であざけ笑い柔らかな唇を重ね合わせてくる
そのまま断る隙もなく淫らに身体を弄ばれ…
これまで味わったことのない快楽が全身を駆け巡る中、
彼女の瞳に輝く雫に気がつく。
静けさが戻った部屋で私はもう一度本心を問い詰めた
あのときの約束を果たすために…